どうも、Yuma(ユーマ)です!
私は現在、2022年末に家族(嫁・娘)とマレーシアへ移住するために準備を進めている30代男です!
皆さんご存じの通り、日本に住みながら米国株へ投資をしている場合、配当金に対しては米国内で10%、日本国内で約20%の税金を支払っています。
ここで、多くの方がこう思うはずです。
ひょっとして日本以外の国に移住すれば、日本国内の20%の税金を支払わなくて良くなるかも…?
この疑問にお答えすべく、先日の記事では、米国株投資に係わる税金について解説しました。
詳しくは以下の記事をご参照ください。
ところが、この記事を執筆した数日後に、フィリップ証券という海外証券口座を使って米国株投資をしている方からTwitterで報告を受けました。
結論から言うと、フィリップ証券だけ米国株の税金に係わる取扱いが違うことが判明しました。
そこで、本記事では、フィリップ証券で米国株投資をする場合の税金について解説していきます!
この記事を読めば、
・外国株投資に係わる税金
・各居住国で適用される税率
・フィリップ証券の税金の取り扱い
が分かります!
それでは、どうぞ!
外国株投資の税金に関する背景知識
本題に入る前に、簡単に外国株投資(米国株投資)の税金に関して簡単に解説します。
そもそも外国株投資って?
わざわざ文章を作ってまで説明する必要はないと思いますが、外国株投資の税金を語る上で重要な概念ですので、簡単に説明します。
外国株投資とは、その名の通りで「居住国以外の商品へ投資」をすることを指します。
日本在住者が米国へ投資をしたり、マレーシア在住者が米国へ投資をすることは全て外国株投資です。
そして、これらのケースの場合、投資で発生する利益に対して支払う税金はどうなるのでしょうか。
米国株投資をする場合の税金
結論から言うと、投資による利益(キャピタルゲイン税、インカムゲイン税)は、
・居住国
・投資先の国(アメリカ)
の2か国へ支払う必要があります。
まず、居住国へ支払う税金ですが、これは当然ながら居住国毎に異なります。
具体的に、日本、マレーシア、タイ、そしてシンガポールでは、以下のように決まっています。
キャピタルゲイン税:20.315%(日本)、0%(マレーシア、タイ、シンガポール)
インカムゲイン税:20.315%(日本)、0%(マレーシア、タイ、シンガポール)
そして、投資先の国、アメリカへ支払う税金は、以下のように決まっています
キャピタルゲイン税:0%
インカムゲイン税:10~25%(租税条約有)、30%(租税条約無)
※租税条約有:日本、タイ;租税条約無:マレーシア、シンガポール
幸いなことに、キャピタルゲイン税は無税ですが、インカムゲイン税は「投資先国(アメリカ)と居住国間に租税条約が締結されているかどうか」で決定されます。
アメリカと日本・タイ間では、租税条約が締結されているので、それぞれ10%、15%の税金が米国内で徴収されます。
一方で、アメリカとマレーシア・シンガポール間では、租税条約がないためデフォルトの30%の税金が米国内で徴収されてしまうことになるのです。
各居住国で適用される税率一覧
以上を踏まえて、以下の国に居住して米国株投資をした場合の税金を整理した表が以下です。
キャピタルゲイン税に関して、日本以外は全て無税です。
また、アメリカで徴収される税金もありません。
一方、インカムゲイン税に関して、アメリカとの租税条約が締結されている日本やタイでは、それぞれ10%、15%の源泉徴収税になっています。
しかし、アメリカとの租税条約が締結されていないマレーシアやシンガポールでは、デフォルトの30%の税金が徴収されます。
したがって、インカムゲイン税だけで見てみると、外国税額控除などの制度が使える日本の方が有利ということになるわけです。
マレーシアやシンガポールに移住して米国高配当株投資をしている人は、少なくともインカムゲイン税の観点から言えば、日本の方がお得ということになります。
インカムゲイン税30%はきついですよね…。私自身、マレーシア移住を計画していますが、30%の税金が徴収されると知ったときには絶叫しました笑。
W-8BENの提出を忘れずに!
米国株投資の税金をお話しする上で、忘れてはいけないのはW-8BENといわれる書類です。
この書類は、どの国に住んでいるのか(正確に言えば、米国在住者でないこと)を証明するものです。
海外の証券会社を使って米国株投資をする際、必ずこの書類の提出を求められます。
強制ではありませんが、仮に提出しなかった場合、インカムゲイン税の税率が30%になってしまいます。
具体的に言うと、日本在住者の方が海外の証券会社を使って米国株を取引した際、口座内に入金される分配金や配当金は通常であれば10%ですが、提出しなかった場合30%になります。
これらの具体的な内容については、以下の記事で詳しく解説しています。
さて、ここまで米国株投資に係わる税金の背景知識を解説しました。
次は、Twitterで報告を受けた内容とフィリップ証券の税金の取扱いについて説明します!
Twitterで受けた報告内容
さて本記事のメイントピックですが、冒頭でもお伝えした通り、Twitterで以下の報告を受けました。
前章をしっかり読んでいただいた方は理解できると思います。
つまりこういうことです。
前章の理論から言えば、日本在住者のためインカムゲイン税は10%になるという認識です。
しかし、そうではなく30%であり、その理由がフィリップ証券がシンガポールを本拠地とする証券会社だからということです。
その後すぐに色々調べて、フィリップ証券にも直接問い合わせをしました。
フィリップ証券からの回答
実際にフィリップ証券に問合せした質問は以下です。
❶ 御社では、米国株投資をする際、W-8BENの提出が必要ですか?
❷ 米国株投資のインカム税について、米国内で徴収される税金はW-8BENに記載されている居住国とアメリカ間の租税条約の有無で決定されますか?あるいは、御社の所在国であるシンガポールとアメリカ間の租税条約の有無で決定されますか?
夕方に質問をして、翌朝午前には回答が来ていました。
上記の回答を意訳すると
❶ 弊社を通じて米国株投資をされる際には、W-8BENの提出を求めています。
❷ 米国株投資のインカム税について、米国内で徴収される税金は、W-8BEN記載の居住国にかかわらず、30%に設定されています。それは、弊社がシンガポールを本拠地としているためです。
まさに報告を受けた内容と同じでした。
これまで私がおススメしてきた海外の証券会社は、主に以下の3社です。
・Firstrade証券
・IB証券
・フィリップ証券
Firstrade証券やIB証券では、以前に上記の質問をして以下の回答を得ていました。
米国株投資のインカム税について、米国内で徴収される税金は、W-8BEN記載の居住国とアメリカとの間に租税条約が締結されているかによって決定されます。デフォルトは30%で、租税条約が締結されていれば10%~25%の範囲で低減されます。
Firstrade証券やIB証券は、アメリカを本拠地としている証券会社なので当然と言えば当然です。
一方、フィリップ証券はシンガポールを本拠地としています。
したがって、現時点で言えることは
■ 本拠地がアメリカの証券会社の場合(Firstrade証券、IB証券):W-8BEN記載の居住国に基づいて米国内で徴収されるインカム税が決定される。
■ 本拠地がアメリカ以外の証券会社の場合(フィリップ証券):W-8BEN記載の居住国にかかわらず、証券会社の所在国に基づいて米国内で徴収されるインカム税が決定される。
ということです。
ただし、本拠地がアメリカ以外の証券会社でも、W-8BEN記載の居住国に基づいてインカムゲイン税が決定される証券会社があることも払拭することはできません。
つまり、これまでの状況証拠から言えることは
本拠地がアメリカ以外の証券会社の場合、各個人が証券会社に直接問い合わせて確認する
しかないということです。
非常に面倒くさいですが、各証券会社によって方針は異なる可能性がかなり高いからです。
フィリップ証券の弊害
さて、ここまで読んでいただければ、フィリップ証券だけ税金を決めるうえで、居住地の取扱いが異なることがご理解いただけたと思います。
フィリップ証券は手数料も安価で非常に使いやすい海外証券会社の1つですが、以下の条件が重なった場合、フィリップ証券を使って米国株投資をするのはやめた方が良いでしょう。
具体的に言うと、
■ 日本在住者がフィリップ証券を使って米国株投資
■ タイ在住者がフィリップ証券を使って米国株投資
ということです。
アメリカと日本・タイ間では租税条約が締結されているので、インカムゲイン税はそれぞれ10%、15%となっています。
しかし、フィリップ証券を使っているがために、インカムゲイン税は30%となってしまうのです。
これが、フィリップ証券を使う弊害です。
つまり、米国間と租税条約が結ばれている国に住んでいてインカム税を節税できるのに、フィリップ証券を使ってわざわざ高い税金を納めているということをしているわけです。
まとめると、以下に該当する人は、フィリップ証券をおススメできません。
それはインカムゲイン税を節税できるのに、わざわざフィリップ証券を使う意味がないためです。
以上が、フィリップ証券で米国株投資をする場合の税金の説明でした。
注意:フィリップ証券会社以外にも、アメリカを本拠地としない証券会社は沢山あると思いますが、それらの証券会社を利用する際は事前に「米国株投資に係わる税金」についてどのような取り扱いになっているのか、問合せした方が良いと思われます。私の把握できている限りでは、アメリカ以外の証券会社ではフィリップ証券のみです。
さいごに
本記事では、フィリップ証券で米国株投資をする場合の税金についてお話ししました。
各証券会社によって方針は違うと思われるので、アメリカ以外の証券会社を使う際には事前に問合せして確認してください。
それでは、またお会いしましょう!
コメント